デンジャラス・ビューティー (2000)

デンジャラス・ビューティー (2000)
  • デンジャラス・ビューティー
  • 英題:Miss Congeniality
  • 2000年 公開
  • ( 4.0 / 5.0 )

捜査一筋のガサツなFBI捜査官が出場者を装ってミスコンに潜入し、爆破事件を阻止するお話です。

ミスコン宛てに届いた爆破予告を阻止するためには、警備として会場に入るよりも出場者を装って内部に潜入したうえで調べて回ったほうが情報を集めやすい。

女性捜査官で、なおかつ他の潜入捜査や産休の最中ではない等の条件面でミスコン潜入捜査に就けそうな者が主人公しかいなかったため、仕方なく担当させられることになってしまいます。

 

シャツにケチャップが飛び散っても気にも留めず、ハイヒールよりも鉄板入りの安全靴を好み、眉毛もボサボサで化粧っ気ゼロ。

こんな『女性っぽさ』の伺えないタイプの主人公が、ミスコン専従スタイリストだった過去を持つ指導係の手を借りて、他の出場者たちと互角に渡り合えるレベルの美女に大変身します。

 

最初のうちは、主人公は「ミスコンなんてものに出ようとする時点でみんなバカ女に決まってる」とばかりに、ミスコンそのものや他の出場者に対し偏見を持っていて不満タラタラです。

でも、仕事のためとあっては仕方ない。

職務に忠実な主人公は、嫌々ながらも振る舞い方の指導を受け、身だしなみを整え、ミスコンの審査内容でもあるダンスや一芸披露、インタビューなどを着々とこなしていきます。

それと同時進行で、他の出場者の経歴を調査したり、犯人ではないかと目星をつけた出場者に接触して情報を引き出せないかと試みてみたり、出場者たちを連れてナイトクラブへ繰り出してみたり。
主人公、なかなか大忙しでしたね。

 

私は、この主人公の真っ直ぐなところや情熱的なところが気に入りました。

最初は偏見たっぷりで他の出場者たちをバカにしていたのに、彼女らと一緒に過ごしていく中で、それが偏見だったとちゃんと自力で気付くことができる。

自分は今まで人のことを色眼鏡で見ていて、でもそれは愚かなことだと、素直に反省して考えや行動を改められる。

主人公は潜入捜査を通じて出場者たちと過ごす中で、彼女らと打ち解けてその人の本質をしっかりと捉え、自分が誤解していたような『バカ女』なんかじゃなく皆とても聡明な女性たちだと確信しました。

だからこそ、このミスコンという事業・機会を損なおうとする爆破予告は何としてでも阻止して犯人を逮捕しなければ!と、捜査に熱が入っていきましたよね。

皮肉屋でガサツなキャラクターという設定だったのに、いつの間にか皮肉屋は鳴りを潜め、出場者たちのことを『友達』としても守ろうとするスタンスになっていて、最初の頃の主人公とは随分様子の違う、温かみのあるキャラクターに変わっていきました。

この映画は犯罪捜査やアクションといった要素が楽しめますが、それだけでなく主人公の心の変化や人間的な成長もじっくり描いていると思うので、それも楽しめるところの一つかなと感じています。

 

あと、ついでに言えば、主人公がちゃっかり優勝してしまわない辺りも気に入ったポイントです。
あくまでもFBI捜査官であり捜査の一環として一時的にミスコンの環境に身を投じただけ、という前提はウヤムヤにされていないので、度を越した『主人公無双』にならずに終わっていて一層好感が持てました。

ちなみに、2005年にはこの映画の続編が公開されています。
主人公のちょっぴり皮肉屋なところとサバサバした性格は健在で、新しい仲間も加わりました。
2作目もスリリングなシーンから挫折と成長のストーリーまで色々な要素が楽しめるので、この1作目がお気に召した方は、続編のほうもぜひご覧になって頂きたいです。

 

余談ですが、この映画、デジタル配信のレンタル動画を探してみると吹替版がどこにも見当たりません。
字幕版は普通にあるのにね。なんでだろう?

 

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