- カンフー・パンダ3
- 英題:Kung Fu Panda 3
- 2016年 公開
カンフー・パンダシリーズの3作目、そしてシリーズ完結作です。
今作は、『パンダ』がお話の鍵を握っている作品でした。
主人公のポーはジャイアントパンダですが、カンフー・パンダシリーズにおいては、パンダってほぼ絶滅種でポー以外には出てこないんですよね。
前の作品をどちらか片方だけでもご覧になってる方は、ポーが捨て子だったことはご存知かと思います。
今作では、絶滅しかかってるはずのパンダが他にも現れ、しかもポーの父親だと名乗ります。
自称父親に連れられ、養父と共に故郷を訪ねると、どこもかしこもパンダだらけ。
なんだ、パンダ滅んでないじゃん。
このパンダの里でもトラブルに巻き込まれるのですが、私は敵との戦いよりも、ポーと彼の父親との関係性の描き方のほうが強く印象に残っています。
ポーは子供の頃に養父の家の前に捨てられていて、養父がずっと男手ひとつで育ててきました。
見るからに種族が違うので本当の親でないことは知っていながらも、ポーは養父のことを自分の父と認識して生きてきましたし、この辺りのエピソードは1作目でも描かれていましたね。
血の繋がりよりも、一緒に生きてきた実態を以て、2人はちゃんと『親子』なわけです。
それが今作で急に実父が登場し、また生まれて初めて同族に出会って、調子に乗りやすいポーのことですからやっぱり浮かれちゃうわけで…。
養父が寂しそうに、不安そうにしているシーンが何度かありましたが、私の身に起こった出来事ではないのに凄くしょんぼりした気持ちになりながら観ていました。
氏より育ち、という言葉がありますが、血は水よりも濃い、という言葉もあります。
養父は、血の繋がった家族と暮らせるほうがポーにとっていいと考え、でも今までの自分とポーの関係や暮らしが無かったことになるのも嫌だと悩むんですよね。
ちょっとした嫌がらせを仕掛けてポーと実父が親交を深めるのを妨害してみたりして、養父もずっと深刻に思い詰めているわけではないので暗い感じにはならないです。
でも、ポッと出のヨソの人に息子を取り上げられちゃうような気がして不安になるんだなというのが伝わってくるので、なんだか勝手に感情移入してソワソワしてしまいました。
最終的には良い形に収まるので、どんな経緯を辿るのか、ぜひご覧になってみてください。