- エリン・ブロコビッチ
- 英題:Erin Brockovich
- 2000年 公開
一見どこにでもいる普通のシングルマザーが、大企業を相手取った集団訴訟に勝訴して莫大な和解金を得る結果に導いていくお話です。
実在する女性とその方の半生を映画化した作品で、映画の内容は、ご本人曰く「おそらく98%ぐらい正確」とのこと。
作品タイトルはその女性のお名前です。
日本ではあまり有名じゃないのかもしれませんが、アメリカでは有名な方だそうですね。
ご本人のWebサイトを見にいきましたが、映画化されたこの出来事の後も精力的に活動を続けておいでで、まだまだ現役なご様子でした。
ストーリー
で、映画の内容について。
映画が始まってからしばらくの間は、正直に言うと主人公への印象が良くなくて、あんまり気が乗らなかったんですよ。
事情は分からんでもないけどゴリ押しの激しい偉そうな人だなー、って思ってしまって、物語が盛り上がってくるまで観ていられるかどうか不安を覚えたくらい。
結果的に、そんな心配は要らなかったです。
周りは弁護士ばっかりなのにちっとも怯まずにやるべきことを推し進めて、原告候補の人たちを地道に訪問して説得してまわって。
正義感が強くて我も強く、やると決めたことはやり通すし、これが正しいことだと確信したら本当に一歩も引きません。
エリンを事務所の一員として雇った(というか雇わされた)弁護士さんは、エリンの有言実行なところやキッチリ結果を出すところには舌を巻きつつも、反面、彼女の頑固さにはお手上げでしたね。
もうすぐ定年退職だから、今この集団訴訟を引き受けて始めてしまうと定年できなくなってしまう、というタイミングでの出来事だったので…正義感や使命感と自分の実際の暮らしを天秤にかけなくてはならず、ずいぶん悩んだだろうなと思います。
結局、絶対に手に入らないはずの決定的な証拠をエリンが掴んできたので実際に集団訴訟に踏み切り、史上最高金額の和解金をもぎ取るという形で終わりました。
フィクションの映画なら何てことはない展開と結末でしょうけど、これがアメリカで実際に起きた出来事で、もぎ取った和解金なども実際の金額と同じだと言われると…エリンさんどんだけ敏腕なの!?と、ただただ驚くばかりです。
そりゃ映画化もされるわ、という感じ。
私、本当は実話を元に実写化した映画ってあんまり好きではないんです。
あくまでも実話ありきになるせいか、話が盛り上がりきらなかったり中途半端なまま映画が終わってしまったりして、消化不良のような気持ちになることが多かったんですよね。
それで、自分にはノンフィクション作品や実話の映画化作品は合わないのかな、って思って、実話系の作品をあまり観ないまま過ごしてきました。
でもこの映画は別。
序盤は流し見ぐらいのテキトーな見方をしてたのに、いつのまにかマジ鑑賞モードに突入してしっかり見入ってしまっていました。
実話ベースにしてはストーリーの展開や出来事に山が幾つもあるので、動きがなくて退屈、という気持ちにならないんですよね。
それだけ、エリンさんが実際に成し得た功績が劇的な出来事だったということだと思います。
法律関係の知識ゼロみたいな状態から、どうやったら大企業にゴメンナサイさせられるんですか…
イマイチだったところ
一つだけ最後まで引っかかったのは、エリンの恋人に対する接し方や扱いが悪くて、報われない感が拭えなかった点です。
随分『いいように利用してる』ように見えて、その辺のことに関しては後味の悪い気持ちになりました。
公害被害者の力になりたいという使命のために駆けずり回って忙しいのは分かるけど…こんなに寄り添ってくれてる相手に対して、もうちょっと違う態度あったんじゃないかなーという感じ。
自分なりのこの映画の評価点は★の数4つで記録しましたが、この『恋人への接し方・扱いの悪さ』という点がなかったら、★5つで記録をつけていたと思います。
それを抜きにすれば、ドラマチックで見ごたえのある映画でした。