- ドクター・ストレンジ
- 英題:Doctor Strange
- 2016年 公開
この度、MCU作品のひとつとして新たにソロでの映画が作られたDr.ストレンジ。
実は私、こうして映画化されるまでこのキャラクターの存在を知りませんでした。
コミック本編こそ読んでいないものの存在や見た目は知っていた他のヒーローたちと違って、Dr.ストレンジに関しては、この映画での出会いが初対面。
何もかもが新鮮な気持ちで、一から楽しむことができました。
エンシェント・ワンとの会話
ストレンジの師匠であるエンシェント・ワンの役をティルダ・スウィントンさんが演じているのですが、彼女とストレンジがアストラル体の状態で外の景色を見ながら最期の話をするシーンがとても印象に残っています。
魔術師たちのリーダーとして皆を導いている立場の彼女も、全知全能ではなく、いつか来る終わりのための準備なんて整ってないんですね。
ストレンジの手を握って自分の胸の内を話し、そして手を離した時には、もう逝ってしまっていました。
少し儚いシーンで、悲しいけれど心に響くこの場面が気に入っています。
ティルダ・スウィントンさん
エンシェント・ワンは、ティルダ・スウィントンさんという女優さんが役を演じています。
余談ですが、この方はこういう性別不詳の神秘的な雰囲気の役を幾つも演じておいでなんですよね。
もしこの映画での彼女の役や雰囲気がお気に召した方は、『コンスタンティン』での天使の役なんかもお好みに合うかもしれません。
収穫と代償
この映画では、ストレンジは事故でロクに使えなくなった手を治すために魔術を志しました。
本人なりに苦労と努力を重ねて体得に成功しますが、その一方で、代償として失ったものはとても大きかったように思います。
NYサンクタムのマスターの任に就いたことで、現世で外科医として生きる道にはもう戻れなくなってしまいましたし、愛するハーパーとももう一緒になれません。
最後の最後で、兄弟子とも袂を分かつことになってしまいました。
『全部』は、手に入らない。
奇跡のようになんでも手に入れてめでたしメデタシではなく、得たもの以上に、手放したものもたくさんあって。
私は、ただの挫折克服のサクセスストーリーにならず、ほろ苦さの残るストーリーだったところが気に入っています。
ストレンジの変化
エンシェント・ワンの最期の時に、ストレンジの手は治せるけど、それは世界の人々にとっては痛手だと言われましたね。
ストレンジは、最初は自分の手を治したいという『私欲』のために魔術を志していました。
それが最終的には、手を治して外科医に復帰することよりも、『人々を守るために』NYサンクタムの主になることを選びます。
エンシェント・ワンに諭された、ストレンジがまだ学べずにいる大事な教え、『人のためにあれ』。
ストレンジは今回の戦いを通じて、それをしっかり学んでモノにできたんだな、と思いました。